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息もできない

第21章 そろそろ泣きたいのですが

俺が渋ると春陽は心底不満そうな顔をした


「なんで?直」


え………だって……


「だって、春陽の部屋…汚い、けど………このまま引っ越しとかできる?」


俺の言葉で春陽は自分の周りを見回した


「あー、やべ…」
「なんでこんなんになってるの?前に来た時はここまで汚くなかったよね?まさか、片付けられない人?」


俺のために掃除してくれてたとか
出来ないことがある春陽も可愛いなぁ


なんて考えていると春陽からすぐさま否定された


「いや、違うんだ」


なーんだ
なんてね


そしたら

「……直に会えないのがキツくて、他に何にも手に付かなくて…洗濯とか家事どころか…飯食うのも面倒で」


顔がものすごい勢いで熱を持って行くのがわかる


うわぁぁあああ
これ俺のせい!?
俺に会えないのが寂しくてこんなに荒んだの!?

嬉しすぎる……


「ごめん……俺の部屋普通に綺麗…」
「はは、何言ってんの。そんなん気にしてるわけないでしょ」
「今から片付ける?」
「もうちょっとこうしてよ。久しぶりの直堪能させて」
「俺も同じこと考えてた」


すれ違いが生んだ俺たちの心の距離を埋めるように、俺たちは静かに抱き合った

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