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息もできない

第22章 俺に矛先を向けるな(サイドストーリー2)

俺たちは交通の便に良いところまで行って大衆居酒屋に入った

そして席につくなり朗が俺に言い放った


「で?奢ってくれるって?」
「は?」


最近、直にも奢らされたばっかなんだけど


と思いはしたものの


「いいよ、奢るよ」


と答えてしまったのは、悪戯を思いついた子供のように笑う朗が妙に可愛かったからだ


「やりい」


喜んでメニューを眺める姿もやんちゃで可愛くて俺の生活を切り詰めれば奢るぐらいいいか、と結論づけた

うーん、と唸りながらメニューを見ていた朗は店員さんを呼んで「これと、これと…」とどんどん注文していく
その姿が先日の直に重なって笑える


「なんだよ。お前は?」
「生ビールで」
「以上でよろしいですか?」
「はい」


俺が飲み物だけ注文すると朗は怪訝な顔をする


「つまみいらねえのか?」
「朗がたくさん頼んでたじゃん」
「あ?ありゃ俺の分でお前のはねえよ」


当然のような顔をされて


「うそだろ!?」


あんな量食えるかよ!


俺が反応するとさも楽しそうに喉で笑う


「くっくっくっ…お前の金だろ。そんな焦ることねえよ」


それは食ってもいいってことか…?

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