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息もできない

第22章 俺に矛先を向けるな(サイドストーリー2)

「嫌だよ、ばか」


と俺の胸に顔をうずめた
中途半端に朗の下敷きになっていた腕を少し動かすと朗は頭を上げてそれを枕にした


「なんで嫌なんだよ」


暴言を吐かれ慣れてきた俺は今度はどんなこと言われるかなと考えていた
けど返ってきた答えは想像よりずっと愛に満ちたものだった


「俺はもう、お前がいない世界になんて生きていくつもりはねぇよ。だから浮気しようが何しようが、お前はずっと俺の横でしか生きていくな」


なにこの可愛い生き物


俺は今日何度思ったかわからないこの愛しい気持ちを言葉にすることも出来ずただ朗を強く抱きしめた


朗は少し苦しそうにしてたけど少ししたら同じくらい強く俺を抱きしめ返してくれた


「なぁ、朗。俺が浮気したら去勢でもなんでもするとして、朗が浮気したらどうすんの?」


俺が気になったことを呟くみたいに聞いてみると答えはすぐに返ってきた


「しねえよ、浮気なんて」
「それを言うなら俺だって浮気なんかしないけど」
「お前はわからねえ。信用できねえ」
「ひどい」


朗の腕力が少し弱まったのを感じて俺も力を弱めると朗が俺を見上げてきた


「だってお前が好きだったのは谷口さん、だろ。俺と全くタイプ違うじゃねえか」

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