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息もできない

第22章 俺に矛先を向けるな(サイドストーリー2)

俺が抓られた腹をさすっていると朗は身体を反転してそっぽ向いてしまった


「何で怒ってんだよ?」


俺がその背中に問いかけて見ても返事はない

痛みで眠さの消えた頭で理由を考える


どこで機嫌悪くなった?
朗が一緒に寝ても怒らねえってあたり?
その次俺なんて言ったっけ


『一晩だけの関係のやつが朝横で寝てても怒らないな、と』


あぁ、そうか


思いついてみればとても簡単で、だけど誰だって怒るだろう発言にようやく気がついた俺は後ろから包み込むように朗を抱きしめた

触るな、とか言われるかなと思ったけど朗は無言で俺の腕の中に収まってくれた


「ごめん。今はもう朗だけだから」
「……」
「今はっつか、これからもずっと」


そう告げて俺が朗の髪に鼻を埋めていると朗がぽつりと呟いた


「俺はお前が浮気なんかしようものならお前のソレちぎるからな」


プチ喧嘩の後にしては随分色気がなくて恐ろしい発言なんだが、それが朗なりの愛の証なのかと考えると自然と頬も緩む


「いいよ。するわけないから。したらいっそ殺してくれ」


俺がそう言うと朗は俺の腕の中でもぞもぞ動いてまた俺の方に向き直った

そして

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