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息もできない

第23章 今度は俺?

まるで真実を知っているかのような春陽の聞き方に仁くんは口を噤む


「………」


春陽は大きくため息をついた
そして驚くほど低い声で攻めるように言う


「…直に何した?」


俺は聞いていられなくて口を挟んだ


「春陽待って、違う。俺達は仁くんのお陰で今一緒にいられるんだよ」


だから攻めないで、と告げると春陽は少し表情を緩めた


「…まぁ、もう終わったことだからいい。……よくはないけど」


春陽が今更問い詰めても意味がないと悟ってくれたのか引いてくれた

俺は改めて仁くんに声をかけた


「それで?何か用事だった?」
「はい。…あの…」


俺が話を振ると仁くんは話しにくそうにもじもじしている


なんだろう?
俺に言いにくいこと、かな


俺も春陽も黙って仁くんが話し出すのを待った
けど、仁くんはなかなか話さない


「…仁くん?」
「ぇと……俺………今日は帰ります…!!」


仁くんは急に立ち上がって玄関の方向に駆け出した

俺は驚いて急いで立ち上がる
俺も春陽も追いかけて玄関に向かった


「ちょっと待って!俺に用事なんじゃないの!?」


すでに背中を向けて走り去ろうとしていた仁くんは足を止めた

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