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息もできない

第23章 今度は俺?

流石に遠くまで行く訳にはいかないから俺たちは家を出て直に聞かれないようにドアから少し離れた


沈黙を破ったのは福山だった


「今日は随分早くに家を出たんだな」
「……まぁ…」


痛いところを突かれて俺は大した返事もできない


「大方俺が谷口さんにくっついてるから、イラついてたんだろ」
「お前は本気で直のことが好きなのか?」


福山の言葉を無視して俺が質問すると、福山は俺を睨みながら黙った

そして


「好きだ。なんでそんなこと聞くんだよ」
「俺にはお前が直のことが本当に好きだなんて思えない」


俺がそう言うと福山は意地悪い顔で微笑んだ


「そうかよ」


そして俺に


「俺がどういう考えでいようと、お前が谷口さんを大切にしていない限りはそんなこと考えている暇はねぇぞ。どんなことしてもあんたから奪ってみせる」


この前こいつに、今と同じように奪ってやるって言われた時俺は何て言ったっけ?

何か、自信溢れる発言をした気がする



『来いよ。奪えるものならな?』

あぁそうだ
そんなこと言ってた


今も、同じことが言えるだろうか

同じ?


違う違う
同じこと言ってたんじゃだめだろ

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