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息もできない

第23章 今度は俺?

「無理だよ。お前には」



俺は真っ直ぐ福山の目を見つめながら答えた


「……それって、もう挑む隙も与えないってこと?」
「そう。諦めろ」


そう言うと福山は俺の目を見返したままじっとしている

暫くそうしてから


「とりあえず今日は帰るわ。じゃあ」


とその場を去って行ってしまった



結局あいつがなにを考えているのか悟ることはできなかったな、と福山の立ち去った後を暫く目で追って


直、そろそろ目覚めたかな


と気がついて家に入った


遅くなる、とメールしたものの時刻はいつも仕事から帰る時間よりも大分早い時間だ


カチャ、と出来る限りの小さな音を立てながら寝室に入ると直はまだベッドで寝息を立てていた


よく見れば額にはうっすらと汗を滲ませている


俺のせいかな

昨日はそこまで具合が悪そうな感じではなかったから知恵熱とか

ありえるな


そんなことを考えながら一度洗面所に行ってタオルと、冷蔵庫から中野が買ってきてくれたであろうスポーツドリンクを持って再び寝室に戻った


額の汗を拭うといくらか苦しそうな顔が和らぐ


そのまま手を当てて熱を測ってみると、普段より少し高い熱が伝わってくる


流石に半日じゃ下がらないか

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