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息もできない

第23章 今度は俺?

頭を撫でると擦り寄って来る感じが猫みたいだ、なんて考えながら俺はドライヤーのスイッチを入れた

モーター音が響いて、温かい風が吹き出す


「熱かったら言ってね」
「うん。大丈夫だよ」


しっとり濡れて毛束が出来ていた髪が次第に乾いてさらさら流れるようになるのを見ていると無性に髪に口付けしたくなる
直の首の後ろの匂いを嗅ぎたくなる


変態かよ



俺は自分の気持ちを抑えながらまた無心になれ、と自分に暗示をかけながら直の髪を乾かした



「ーーよし、こんなもんでいいかな」
「ありがと。春陽」
「ほら、直早く立って。布団行くよ」


最近徐々に寒くなってきたから、早く布団に入れないと治りかけの風邪が悪化してしまうかもしれない

俺が急かすと直は首を横に振った


「まだ行かない。春陽の髪俺が乾かす」
「だめ。病人さんは早くお布団に行ってください」
「不公平だ」
「仕方ないでしょ」


俺は直のありがたい申し出を受けることなく布団に送り込んだ


仏頂面をしている直を置いて一度台所に行き水と薬を持って戻る

しかし薬と水を手渡すと直はそれを見つめたまま黙り込んでしまった


「直?どうかした?」

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