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春陽の気持ちを疑っているわけじゃないから


と心の中で何度も言い訳をしながらその雑誌を捲ってみると、白黒のコラムやアンケート等が載ってるページにさっきの記事を見つけた


『彼に浮気させないためには、この言葉を言ってあげれば大丈夫！』


何の根拠があるのかはわからないけど、何となくこういう記事って気になるよね

俺が熱心に雑誌新刊コーナーでその記事を読み耽っていると電話を終えた春陽が俺の肩を叩いた

振り向くと春陽は記事を見てクスクス笑っている


「なんて記事読んでるの、直」
「なんか、気になって……？」


俺が言うと春陽はなんで疑問系？と笑いながら俺の頭をするりと撫でた


「電話はもういいの？」
「うん、大丈夫」


お昼ご飯食べに行こうか、と歩き出すとさっき浮気がどうのなんて記事を読んだからか、春陽に向かう人の視線が気になってきた


あの女の人、春陽のこと見てる
あの人も
あそこの店員さんも


見つけ始めるとキリがなくて、俺のテンションは少しだけ下がる

すると春陽が携帯を取り出して操作し始めた
暫くすると俺の携帯が振動する


「？」


メールだ


送り主は隣で携帯を弄っていた春陽