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息もできない

第25章 息もできない

「春陽?どうかした?」


すると春陽は俺の唇に人差し指を当てた


「だめだよ。俺以外の人褒めたりしちゃ」


見上げた顔はいつもの悪戯っ子のような顔じゃなくて嫉妬心に満ちた顔をしていた

俺の心臓がきゅん、と音を立てる

俺は逆に春陽の手を掴んで物陰に引っ張っていった


「直?」


突然の行動に驚く春陽の口を俺は自分の口で塞いだ

すぐ近くに人がたくさんいるから、一瞬だけ


それだけで全ての感情を伝えられるような気がするから


口を離して春陽の顔を見ると、案の定俺の思いが伝わったのか嬉しそうに微笑んでいた


すると春陽が「あ」と声を上げて携帯をポケットから取り出した

俺に一言「ごめん」と断ってから携帯を操作し始める

そして


「ごめん直。ちょっと電話してもいい?」


と聞いてきた


「いいよ。じゃあ俺その辺にあった本屋さん見てるね」
「わかった。ありがとう」


雰囲気は壊されちゃったけど、仕事とかだったら仕方ないよね


俺は春陽を残して本屋さんに向かった

たくさんの雑誌の中に普段購読しているものがあった


あ、これまだ買ってない


そして視線をズラすと、視界に入った女性向け雑誌の表紙に大きな文字


『彼に浮気させないためには!』


ちょっと、気になる

かも

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