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息もできない

第25章 息もできない

空から降り注ぐ陽光を反射して輝く芝生を眺めていると心が穏やかになる

頬張ったハンバーガーは海老の香りとアボカドの仄かな青臭さが絶妙で


「美味しい」


俺が思わず漏らすと春陽が微笑んだ


「良かった」
「うん。えへへ」
「そういえばさっきのメールーー」


のんびり二人で話しをしてご飯を食べ終えると再び次の行く先を決める話になった


「どこ行く?直は何か見たいものある?」
「特にない、けど……あ、雑誌買ってないのがあったんだ。本屋さんにちょっと寄りたい」
「浮気はしないよ?」
「その雑誌じゃないから!」


春陽に軽く笑われて、ふざけあっていると春陽が動きを止めた


「じゃあその後俺の行きたいところに行ってもいい?」
「いいよ?どこ行くの?」
「まだ秘密」
「?」


よくわからないけど、まぁいっか


俺たちはゴミを捨てて、本屋さんへ向かった


「ところでさっき届いたこのメールは何?」
「ん?あ、面白いでしょ。これ俺が指定した日にならないと見れないんだよ」
「へぇ。なんて書いたの?」
「まだ秘密」


さっきの春陽の真似をして答えると「こら」と笑顔で怒られた


怒っても教えないよ
だって恥ずかしいもん


俺は10年後に一緒に見れるように送信メールボックスからさっきのメールを削除した

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