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息もできない

第27章 番外編「夏に気になるアレ」

「嫌だ!嫌だってば!春陽!!」
「嫌なのはわかるけどせっかく来たんだし」
「嫌なものは嫌!!」




ようやく休みになった俺の会社に合わせて旅行を計画してくれた春陽

海に近いホテルの部屋からは熱い太陽に照らされてキラキラ光る砂浜が見えた


「思い出作りしようよ、ねぇ直」
「海で泳ぐ以外ならいいって言ってるじゃん」
「だからどうして泳ぐのはダメなんだよ?泳げないの?」
「泳げるもん」


やっぱり泳げないんだろ、と俺をからかって笑う春陽に俺は盛大に溜息を吐きたくなった


本当に泳げるよ
平泳ぎも背泳ぎもクロールも出来るよ

それに俺だって春陽とビーチで遊びたい


でもねよく考えて?
春陽ほどのイケメンが水着着てビーチに行くんだよ?
それもあんなに人がたくさんいる中に


俺は窓の下に広がる砂浜に視線を落とす
そこにはたくさんのパラソルと人がひしめき合っていた

中でも目に入るのは露出の多い派手な水着を着た女性達


あぁぁぁぁ……
やっぱりだめ


俺が頑なな姿勢を崩さないせいか、春陽は不機嫌そうな顔になった


そんな、怒らなくてもいいのに


そしてついには


「じゃあ俺1人で行ってくるから、直は部屋にいな」


と言って水着に着替えて部屋を出ようとする

俺は慌てて春陽の腕をとった


「ま、待って……」
「……一緒に行く?」
「……行く……」


1人で行かせるよりよっぽどましだよね


俺はしぶしぶ水着に着替えた

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