テキストサイズ

薫子の先生な日常

第2章 Kとわたし

彼が私に唇を近づけようと決意したらしい、その刹那、パッフェルベルのカノンが聞こえてきた。
と、同時に階段上の音楽室から片付けを終えた吹奏楽部の生徒が出てきたらしい喧騒が聞こえた。

或いは、さっきから聞こえていたのに私の身体がカーテンの外の世界から閉ざされただけだったのかもしれないが。

下校時刻だ。

私は手首をよじり、Kの手から逃れた。

ブラウスの前を押さえ、カーテンから出る。

素早くボタンを付け、走ってフロアから飛び出して行った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ