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片想いの行方

第14章 夏祭り



「美和」


ふいにヒメが呼ぶ。


「なによっ」


あたしは混乱した頭で振り返る。




「俺、りんご飴食いたい」





……はぁ!?





その顔はもう笑顔になっていた。


「チョコバナナと綿飴。

かき氷とベビーカステラも。

全部食いきれねーから半分ずつにしようぜ」


ヒメは屋台が並ぶ通りを歩きだした。





ま、またこのパターン!?

どんだけ甘党なのよ?

だいたいこの前のクレープもそうだけど、その細い体のどこに入って消えていくわけ?




「ほら、早く来いよ」



言いたいことは山ほどあるのに。


振り返ったその笑顔に、また胸がドキドキして



あたしは結局、ヒメに言われるまま後をついていった。

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