
片想いの行方
第14章 夏祭り
「………ヒメ……
…香月………」
蓮くんがあたし達の名前を呼ぶ。
だけどあたしは、蓮くんの顔ではなく、その繋がれた手に目が奪われた。
優香さんは、藤色の浴衣を着ている。
2人が一緒にいるところを
初めて見た…
本当に2人は…恋人同士なんだ…
少しの間、気まずい空気が流れると
蓮くんが口を開いた。
「…香月、ヒメと2人で来たの?」
「えっ!? あ、えっと…」
「クラスの奴らとはぐれたんだよ。
何人かもう中央の土手にいる」
あたしが何か言う前に、ヒメが口を開いた。
