片想いの行方
第26章 交差する想い
「…………てめぇ………!!」
カッとなった蓮くんは、ヒメに近付いて
ヒメの胸ぐらをぐっと掴んだ。
「……! れ、蓮くん………!」
あたしは慌てて、振り上げられた蓮くんのもうひとつの手を静止した。
ヒメはピクリとも動かずに、無表情のまま蓮くんを見上げている。
「……香月。 離して」
「ま、待って……! あの、さっきの話……」
あたしはドキドキしながら続ける。
「ちゃんと聞いてないからよくわからないけど…
れ、蓮くん、何か誤解してる。
ヒメは優香さんを誘ったりは……」
「美和」
あたしの話の途中で
ヒメが遮った。
「………! ……ヒメ………?」
ヒメはあたしを見て微笑むと
襟を掴んだ蓮くんの手首を持ちながら、ベンチから立ち上がった。
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