
片想いの行方
第32章 選択、そして決断の先に
「あーー♡ うまいっ」
麗子は長い脚を芝生の上に放り出して、大きく伸びをした。
金髪のショートヘアを、ビシッとオールバックに固めて。
日本人離れしたバサバサのまつ毛を瞬きさせて、空を仰ぐ。
もう秋の気配さえ感じるこの時期にも、麗子は黒のタンクトップにスキニーデニムという格好。
男受けを狙ってふんわりした服装の私とは、まるで対照的だ。
「…で?
あいつはあんなに一目散に走って、一体どこへ向かったわけ?」
麗子はもう1本のタバコを取り出しながら、口を開く。
「……聞いてたでしょ?
蓮と両想いになったクラスの女の子に、告白しに行ったのよ。
私の助言のお陰でね」
私は缶ビールを手に持ったまま、淡々と話した。
それを聞いた麗子が笑う。
「マジ?
あいつがそんな熱い男だったなんて、知らなかったわ。
しかも蓮くんが好きな女だなんて。
我が弟ながら、やるな~♡」
「………………」
