
片想いの行方
第33章 伝えたい想いを、あなたへ
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午後の4時を過ぎて、真っ青だった空に、大きな入道雲が広がっていた。
ケヤキの木の間を、心地よい風が吹き抜けていく。
会場のすぐ横にある体育館の裏は
小さな遊具がいくつか置いてある、芝生のスペースになっている。
小さな女の子が滑り台で遊んでる姿を、あたしは少し離れたベンチに座りながら、ぼーっと眺めていた。
さっきまでの余韻が、まだまだ体に残っていて
心臓は相変わらず早い鼓動を続けている。
ふと足元に目を移すと
あたしの影に、もうひとつの影が後ろから重なっていた。
「………………っ」
「……香月、お待たせ」
