
片想いの行方
第33章 伝えたい想いを、あなたへ
「蓮くん………」
あたしは体を蓮くんに向けた。
蓮くんも、あたしを見る。
「……優勝 おめでとう……」
「………うん」
濡れた黒髪を光らせて、蓮くんはふっと笑った。
その優しい笑顔を見て……
もうダメだった。
自分の気持ちを抑えられない。
「………蓮くん、あのね……
あたし…………」
あ、あれ………?
どうしたの、あたし。
言葉が続かない。
「……………」
蓮くんがじっとあたしを見る。
伝えたい想いは、心の中に溢れているのに
胸がいっぱいで
どうして声にならないの………?
