
片想いの行方
第39章 片想いの行方
「………………っ」
さらに強くあたしを抱きしめた蓮くんを
「おい、いいかげん離れろ」
後ろからヒメが引っ張った。
そして、あたしをじっと見つめる。
「……それでいいのか?
こんな良い物件、この先2度と見つからねーぞ」
「………うん………そうだね………
あたし、2人以上にカッコイイ人、見たことないよ」
「……………っ」
今度は、ヒメがあたしの手を引いて
力いっぱい抱きしめてきた。
「……ヒメ! やめろ!」
蓮くんが慌ててヒメの首を掴む。
「なんだよ蓮、自分だけイイ思いしてんじゃねーよ。
もうどっちもフラれたんだから、減るもんじゃねーだろ」
「てめーの場合、減るんだよボケ!」
卒業パーティーの時間に近付き
アンナが迎えに来るまで
蓮くんとヒメの言い合いを
あたしはずっと笑って見続けていた。
