
片想いの行方
第47章 探り合い
ヒメがソファから立ち上がる。
それと同じ時に、ジャズの演奏が止まった。
「…………働く……?」
私は首を傾げた。
今からバーテンダーになって
私にカクテルでも作ってくれるってわけ?
……まぁ、ちょっと楽しみだけど。
ヒメは大きく伸びをすると、再び口を開いた。
「お前、高2の時同じクラスだった、中野ってやつ覚えてる?」
「……え……?」
話が繋がらない突然の質問に、私は顔を上げる。
……中野くんって……
「……確か、ヒメと蓮くんと同じ中学で……2人とも仲良しだったよね?」
卒業式、屋上から3人の姿を見たことが、ぼんやりと思い出される。
「そう。
あの当時、俺らの仲間は断然、あいつがトップだと思ってたけど」
ヒメは私の方に振り向くと
ニヤッと笑った。
「………あの中で、1番上手かったのは
中野じゃなかったってことだ」
