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「………………！」




……言葉が出てこない。



ヒメは制止した私の手をゆっくりと外すと


勢いよくドアを開けて、リビングの中へ入った。






「おじゃましまーす」





ヒメの声に、一条さんがものすごい勢いで振り返る。





「………あんたが、一条？」




ヒメは何の躊躇いもなく、一条さんの座っているソファへ近付いていく。




「……はぁ……

想像してたよりも大分ひでぇな。

その年でハゲって、かわいそー」



「……なっ………！！」





一条さんは衝撃でしばらく固まっていたけど



ヒメの後ろに私の姿を見つけると、体を震わせながら口を開いた。




「………美和………

一体どういう事だ………！？」



「あー、今から一切美和に声かけないでね。

あんたの話し相手には、俺がなってあげるから」




ヒメは私を一条さんから隠すようにして、彼の前に立ちはだかる。



私は全身の力が抜けてしまい、床の上にペタっと座り込んでしまった。




すると、ヒメが前を見たまま私に話しかける。




「美和。

コートのポケットの中、ちゃんとONになってる？」