
片想いの行方
第52章 その男、再起不能
「………………!」
ヒメ……!?
立ち上がろうとしても、腰が抜けた体には力が入らない。
強気な発言を、次々と一条さんに浴びせているけど
一条さんは、うちの会社では………
「……まぁ、いい。
お前が誰でどこにいる奴なのかは、調べればすぐに分かる事だ」
一条さんは低い声でそう呟くと
だんだんと冷静さを取り戻したのか、薄ら笑いを浮かべた。
「会社に入ったばかりで、何も知らない新人君に教えてやろう。
俺はこう見えても、社長の推薦で入社した逸材でね。
申し訳ないが君なんかとは比べものにならないくらい、強い立場にいる人間だ。
休職している今でも、人事にまで顔が利く」
一条さんは足を組み、にんまりと笑いながら続ける。
「……初対面のくせに、さっきからずいぶん失礼なことを言ってくれたもんだね。
入ったばかりなのに、2か月もしないうちに退職か。
いや~実に面白い」
「……………!!」
ゾクッと全身に震えが襲って
「……や……やめて………!」
私はやっと声が出た。
「……一条さん……
彼は関係ありません………!
お願いですから………」
…今までも、一条さんに刃向かった社員は、不当な異動や解雇を虐げられてきた。
こんな自宅にまできて、これだけの発言したなら
………もう、結果は目に見えている。
