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片想いの行方

第52章 その男、再起不能



その項垂れた姿は、私が今まで見てきた一条さんとはまるで別人だった。




「こんなに俺を追い詰めて。

……目的は金か。 

お前ら全員、俺を脅して金を強請ろうとするってわけだな」





一条さんが話している途中で、麗子さんと優香さんが私の方にゆっくり近付いてきて


2人同時に、私に手を差し伸べた。




「……お前は最後の最後までアホなんだな」





ヒメは静かにそう言うと




今日1番の低い声で続けた。






「………美和を解放しろ」







2人に支えられて立ち上がる。




涙腺が崩壊して、はっきりと見えない中でも




その声は、確実に私の耳に届いた。






「俺は一生お前を許さないが。




これ以上関わる気も無い。




その代わり、二度と俺達の前にその汚い姿を見せるな。








………もう二度と








美和に近付くな」

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