テキストサイズ

片想いの行方

第52章 その男、再起不能




「…………………っ」




私の胸は、もう破裂寸前だ。



眩暈が起きているのか、一条さんはふらふらとソファから床に倒れ込む。





「……詳細が良くわからないが、お前の知り合いが父さんの会社に係わってる……」




一条さんは顔面蒼白で呟くと、ガバッと体を起こして



震える手を、ヒメに向かって差し出した。





「…だめだ……それだけはマズイ。
俺なんかの話を耳に入れる以前の話だ」



「お前、さっき尻拭いしてくれるバックがいるって、自信満々に言ってたじゃねーか」



「ち、違う!
それはまず、父さんに丁重にお願いしてからじゃないと……

とにかく、その中央にいる方々は、雲の上にいるような………」



「知らねーよ」




ヒメは、一条さんの言葉をばっさりと遮断した。





「俺、蓮じゃねーもん。

どんな制裁をするのかは、あいつに任せてある」




「……………!!」






ヒメの口から出たその名前を聞いて





体中に衝撃が走る。








一条さんはその場にへなへなと座り込むと



消えてしまいそうな小さな声で呟いた。





「………何が望みだ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ