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片想いの行方

第54章 再会




………………………………………………


一昨日の水曜日。





『明後日の金曜?』




お昼休憩。


メールでヒメを呼びだして、会社の屋上のベンチに2人で並んで座る。




『うん、奈々さんは旦那さんと予定があるからダメだったんだけど。

ヒメ、空いてるなら……』





……本当は、奈々さんにはヒメと2人で行ってきなっていう理由で、断られた。


みんなに何かお礼がしたくて、まずは何か御馳走させてもらえたらって思ってたんだけど……





『そんなことよりお前、あれからちゃんと眠れてるのかよ?』




相変わらず、上から下までオシャレな服を着こなして


ホットコーヒーを飲みながら、ヒメが聞く。




『……うん。
昨日はいつもの時間に目が覚めちゃったけど、今日は遅刻ギリギリまで寝てた』



『あっそ。
弁当箱もちゃんと処分したんだろうな?』



『……それは、あの帰り道の途中で

一条さんのカードと一緒に、ヒメが駅のごみ箱に放りこんだじゃない……』





まだ2日前の話なのに、ヒメは忘れたと言って



両手を上げて大きく伸びをした。





……少し茶色い前髪が、風に揺れている。




私は相変わらず胸をドキドキと高鳴らせたまま、ヒメを見つめた。

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