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片想いの行方

第54章 再会





時計台のここから、目線を右斜め前に向ける。



空港発着のバス乗り場がある、その手前の広場に



この季節だけ特別に用意された、大きなクリスマスツリーが輝いていた。




私はその光に導かれるように



そのツリーの元へと近付いていった。





………そうだ。



12月23日。




高校最後の年の今日も、ヒメの大学で、大きなクリスマスツリーを眺めていた。





彼の温もりと、後ろ姿。





ただただ相手の幸せを願った、あの日。





この季節になると、毎年思い出していたけど。





………地面に倒れ込むほどの力で、殴られた日だから





ヒメもきっと覚えているよね。





大人になったヒメと、大人になった私。





この後の2人の時間で、何かが変わるかな……







そんなことを思いながら、キラキラと輝く光を見つめていると





同じように、反対側で





クリスマスツリーを、1人眺めている姿が目に入った。


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