
片想いの行方
第54章 再会
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「……………」
思い出してしまった………
ヒメへの返信メールが送れたことを確認し、私は1人顔を赤くする。
ヒメは今日、店舗の視察があって終日外出になったから
こうして駅の前で待ち合わせすることになった。
……そりゃ、ヒメが1番喜んでもらえることをしてあげたい。
だけど、まだ少しだけ、彼の本心が分からない。
私を一条さんの元から救い出してくれた行動に、どうしようもなく胸が熱くなった自分がいる。
あの頃の、密かにヒメに抱いていた想いが、蘇ってきていることも確かだった。
でも、ヒメは………?
本当に私の事を、まだ想ってくれているの………?
社内の女子全員といっていいくらい、既に彼の虜となっているし
きっとあのジャズバーでだって、相当モテてるに違いない。
高校の時よりも格段にかっこよくなっているヒメ。
自分でも予定いっぱい発言しちゃってるくらいだし
他にも誰かいても不思議じゃないよね。
「……って私、どれだけ怖がりなの……」
ヒメの言葉だけを信じればいいのに
どうしてもそうやって彼の想いを疑ってしまう。
………心が揺れ動いている原因は
それだけではないけど………
