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片想いの行方

第58章 忘れられない人


心臓がトクンと音を立てる。




「何年経っても、遠くにいても、そうやって気遣う気持ち。

……私、そんな蓮くんの想いに心打たれちゃってさ。

一条のマンションで、ヒメを追いかける美和に、つい蓮くんの事言っちゃったんだけど」




アンナはステージに目を向けて続ける。




「蓮くんも制裁に力を貸してくれたし、美和を想ってくれていたけど。

実際、美和の現状を察知して、手を差し伸べて行動に移したのは、ヒメなんだよね。

……あいつがいなかったら、美和を救い出せなかったんだもの」






………ズキンと胸に痛みが走る。



アンナの言う通りだ。



ヒメに助けを求めたし、彼に強く心を奪われたのも事実。




……その一方で、私は………






「美和」






アンナが真っ直ぐ私を見る。





「蓮くんとヒメの、“ 近況 ” は分からないけど。


ここまでする2人の美和への想いは、充分伝わってるよね?


……美和は、どう思ってるの?」




「………………」




アンナの言いたい事は分かってる。


まだ不完全だけど、こんな私でも大人になったから。


いつまでも揺れてる乙女なんて、そんな調子いい言い訳ができる年でもない。




だけど………

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