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片想いの行方

第59章 弱さと痛み



「まぁ、いくら初めての人だからといってもさ。

10年も前の彼氏をそこまで覚えてるのも珍しいわよ。

私なんてキレイさっぱり風化してるし」




アンナはボトルをテーブルに置くと、ふっと笑った。




「それだけ、蓮くんと一緒の時間が楽しかったのかな。

現に、美和ってばそれから誰とも付き合ってないんだもの。

あの時もヒメとの間で揺れてたけどさ。


……本当に好きだったんだろうね」





……そりゃそうだろ。



注がれたワインを口に運びながら、俺はあの頃の2人を思い浮かべる。





蓮も、美和も


お互いを想う愛で溢れていて


見つめ合う2人には、いつも心からの笑顔が絶えなかった。



……その姿を隠れて見ていたのが、つい最近のことにさえ思えてくる。









「……ねぇ、ヒメ………」






顔を上げると、アンナは俺を真っ直ぐ見つめた。






「………美和のこと


応援してあげられないかな……?」





「…………!」

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