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凛が嫌がっているとどれだけ伝えても、こいつは凛に触れるのをやめない。

「凛をかけて勝負しようぜ？」

いっその事、こいつの言う勝負に乗ってしまおうかと頭の片隅で思う。


「…何度も言ってるだろ？ 凛はモノじゃない」

「はっ、負けるのが怖いんだろ？」

「………」


乗らない…

乗れない…

爪が食い込む程に拳を握り締めて、必死に冷静さを取り戻そうとする。



「それとも、さっきのアイツみたいに無様に怪我したくない？」


─────…っ‼︎


「……さっきのアイツって…奏の事か？」

自分でも驚く程の低い声だった。


「かなで？ 女みたいな名前だな。だからちょっと触ったくらいで吹っ飛んだんだ。ヒョロヒョロなカナチャンだな」


───これ以上…

自分を抑える術を、

俺は、知らなかった。