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pure love

第5章 兆候?

ダンダンダン

幾度となくその場でドリブルを繰り返す平野。

その乱れた音が、平野の焦りを伝えてくる。


ガンッ

リングに弾かれたボールが俺の方へと転がる。



「蓮くん…」

ボールを拾い顔を上げた先に、泣きそうな顔で俺を見つめる凛。


「心配すんな、俺が決めたら勝ちだから」

三本先取だって、言い出したのは平野だ。

次を決めれば、俺の勝ち。


グッと膝を曲げ、シュートを打とうとした瞬間、

「───…っ⁈ 」

突然目の前に現れた平野が、俺の手を離れたボールを弾いた。


「ちょっ…」

「平野、汚ねぇぞ!」

クラスメイトから非難の声が上がる。


「うるせぇ! 手ェ出すなよ⁈ 」

ダンダンとドリブルをしながら、平野はクラスメイトを一喝する。

そして、

「悔しかったらボール取り返してみろよ」

俺を見て笑った。


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