
ふた恋
第6章 セクハラ
「‥友に何回も電話したんだけどっ‥き、切られて‥」
「え?」
俺はさっきの電話しか気付かなかった。
‥ひかりが電話を切っていた?
「こ、怖くて‥急ぎ足で友の家向かって‥」
バイト先から俺の家に来る道には一カ所だけ人通りが少ない場所がある‥
「‥そしたら、店長の車が前に回ってきて‥く、車ん中に引きずり込まれて‥」
「‥!!杏里っ、もう言わなくていい!!‥言わなくて‥いいからっ」
ぎゅっときつく杏里を抱きしめる。
俺は何をしてたんだ。
杏里が苦しんでいたのに。
助けを求めていたのに‥
「‥汚れちゃった‥っ汚いよっ‥うぅっ‥」
