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不器用なくちびる

第15章 決断

瑞希は初め、俺に断られたことが
信じられないみたいだった。
でもその後も全くあきらめなくて…

ほんとに健気な子だと思った。
香山にこの先再会できる保証も無い
のに…なんで俺はこんないい子を
傷付けてるんだって悩んだ。

俺は真剣に考え直したあげく…
瑞希のことは俺にはもったいない
くらいいい子だと思うけど、
中学の時以来会っていない子を
どうしようもない程好きで…
この気持ちは自分でもどうにもでき
そうもないって改めて瑞希に話をした。

瑞希は最後まで聞き終えると
激しく泣き出し…こう言った。


「やっぱり私は
幸せになったらいけないんだね…
やっと…やっと好きな人ができたのに…
こんな私でも恋ができるって…」


「こんなって…
瑞希ちゃんめちゃくちゃモテるでしょ?
これからいくらでも
素敵な恋ができるよ。」


「私…葉子先輩のお手伝いしようと
思ったのには理由があるの。
私も昔、同級生に無理矢理されて…
何度も死のうとしたわ。
でも橘くんに会ってから希望がわいて…
私、橘くんが初恋なの。
好きな人と結ばれれば
前に進めるかもって思ったのに…
生きていけると思ったのに…」


俺の胸に飛び込んで、
泣きながら震えてる瑞希を見てたら…
その肩を抱きしめてやることしか
その時の俺はできなかった。

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