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不器用なくちびる

第19章 【椎名 12才】

なげ〜まつ毛…
でもガキみたいな幼い顔。
それにしても小っせえな…
美優みたいに…
そのやたらと暖かい手も。


俺は毒づくことも忘れ
黙ってそいつの手を振り払うと
逃げるように校門をくぐった。


なんだこのドキドキ…
風邪でもひいたか。
とりあえず…
女を抱きに行くのはやめとこう…
俺の手はもうこんなにも温かい。


……………………


女の名前は香山 栞。
田舎から来た転校生だった。

幼馴染の春菜に聞いたところによると…
吉井にマジで片思い中。
そこまで知るつもりはなかったのに…
吉井と聞いて俺は胸がざわついた。

吉井の親と俺の親は同業者。
いや…多分まだな。
ずっと親とは会話していない。

そして吉井と俺、
吉井の妹と美優も同学年だったから
見栄っ張りな親は
俺と吉井をずっと比べていた。

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