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不器用なくちびる

第19章 【椎名 12才】

そしてあの日…
美優は死に
吉井の妹は美優の葬式で
兄に抱きついてずっと泣いていた。


「大丈夫だよ…兄ちゃんがついてる…」


そう言って
小さい体で抱っこしてやる吉井。
チビのくせに…
頼りがいのある兄貴に見えた。


そうさ…お前と違って
俺は美優についていなかった。
だから美優はああなった…


俺のせいじゃないって
親以外の周りの大人たちは言ったけど
俺はどっちでも良かった。


どうしてそんなことになったのか
俺にもわからないけど…


いや、初めは好きだから
香山を俺のものにしたくて。


なんとかして
吉井だけには渡したくなくて
俺は香山に近付いた…

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