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不器用なくちびる

第21章 【栞 16才】

「ん…イヤ…ん…」


ん…?


私はガバッとベッドの上で起き上がる。

また…また椎名の夢をみちゃった…

日本にいる頃はそうでもなかったのに…
イギリスに来て、橘くんのことが
なぜだか気になり始めてから
私は頻繁に椎名との
性的な夢をみるようになっていた。
そのほとんどは、実際にあった
封印されてた記憶…


「なんで…!なんでっ…!」


泣いて悔しがっても
誰も聞いてくれない…
ううん、こんなこと
誰にも相談できない。

私はどこかおかしいんですか…?

どうして好きでもない人に
弄ばれた記憶が、こんなにも甘く
私を縛り付けるのですか?

椎名…お願い…その目を止めて…

同じ頃、日本では椎名もまた
栞のことを思い出し
苦しむ日々を送っていた…


✳︎栞 16才 完✳︎

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