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不器用なくちびる

第22章 【椎名 16才】

「ーーー………
そういうわけだから…
俺は誰ともまともには付き合えない。
その上、大切な奴ほど傷付けて
守ることすら出来ないんだ。」


一通り話終え…
俺は覚悟を決め
桧奈からの言葉を待った。
でも…桧奈から出た言葉は
俺が想像したものとは全く違っていた。


「だから、私が幸せにしてあげたいって
言ってるのに…ちゃんと聞いてた?
私は守ってもらう必要なんで無い。
壊れものみたいに扱われたら
その方がイヤ…

それに、その…椎名の身体のことだって
そのうち何とかなるかもしれないよ?
私は別に気にしない。
出来ることから始めればいいと思う。
私のことがイヤじゃなかったら…
だけど…」


出来ること…
桧奈はそんなつもりで言った
訳じゃないと思うけど…
俺に思いつくのはたった一つの事だけ。

俺が桧奈に出来ること…
俺が桧奈にしたいこと…

俺は桧奈のあごを上に向けさせると
そのくちびるを優しく吸った…

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