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不器用なくちびる

第10章 別離

同じ頃…


「マジで?!栞が〜?
10月なんてもうすぐじゃん!
間違いじゃないの?」


「いや…
姉貴がピアノに進んでるだろ?
それで、先輩が話してたらしくて…
中学から海外行くのって珍しいし
香山に間違いないと思う。」


「……そもそも栞、
ピアノなんて弾けるの?」


「小さい時からすげ〜おばさんに
習ってたんだよ。
で、そのおばさんが講師してるって
言ってたのが確か同じ学校だし…」


「…ほんとっぽいね。
ははは…水くさいな。」


「まぁ、な。でも無理もねぇよ…」


「ん、そだね…

………

………

橘!ごめんっ!
私は、男友達より女の友情を取る!」


「は⁉︎」


走り去る春菜を呆然と見送る橘だった。

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