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殺人鬼の棲む島

第22章 3日目 夕方 洞窟

しばらく奥に進み、綴はこの洞窟に誰か人がいた形跡があることに気付く。

誰か最近歩いたような、潜んでいたような気配だ。

綴は慌てて懐中電灯を消す。

息を潜めて身を屈める。

そして胸ポケットに隠していたナイフを取り出す。

いつもの明るくちょっと意地悪で情愛の深い綴の表情は霧散する。

忍び足で歩き、神経を暗闇に張り巡らせる。

風の抜ける音の中に誰かの息遣いを確認しながらゆっくりと進む。

どれくらいその姿勢で歩いたであろうか?
自分でもわからなくなるくらい歩いたのちに洞窟の行き止まりにたどり着いた。

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