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殺人鬼の棲む島

第37章 5日目 早朝 黒鵜館リビング

「虚空島……」

望が復唱する。

「虚空蔵尊の虚空か……」

京茶屋が鋭い目になる。

「なにもないこと、って意味ですよね、虚空って」

遥風がゾッとした声で呟く。

「みんな殺されてなにもなくなる島、それが虚空島だったりしてね」

紫響はおかしそうに笑ったが誰もそれに賛同した笑いは見せなかった。


しかし遥風このときなにかが頭のなかで引っ掛かった。
なぜみんながこの島を『黒鵜島』と信じて疑わなかったのか?
そう疑わない『なにか』があった気がする。
しかしそれがなんなのか、本人もわからず、喉の奥に引っ掛かるものを感じていた。


そして、5日目の一日が幕を開ける。

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