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殺人鬼の棲む島

第44章 6日目 午前0時

「……いいや」

遥風は首を振った。

そして女性らしい優しい笑みを浮かべて悠夢を見る。

「ごめんね、悠夢ちゃん。厳しいこと言って……悠夢ちゃんを追い詰める振りして他の人の反応を見ていたの」

「他の人の……?」

「あ、いや……言い訳はよくないね。悠夢ちゃんのことも疑ってた。けど悠夢ちゃんを犯人に仕立て挙げることで他の人がどんなリアクションとるかって見てたの。ごめん」

先ほどまでの気迫は嘘のように消え、男物の和服を着た娘がペコリと頭を下げた。

「いえ……そんな……私が捜査のお役に立てたならむしろよかったです……」

安堵の涙を浮かべて悠夢もお辞儀する。



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