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殺人鬼の棲む島

第46章 6日目 昼 リビング

黒鵜館には誰もいないのか、静まり返っていた。

紫響は一人リビングで昼食を摂っていた。

暇だったので時間をかけて鶏肉をじっくりとトマトソースで煮込んだ。

予めガーリックの香りをつけてこんがりと焼き目をつけたチキンは芳ばしさもあり、身もホロホロと崩れるほどに柔らかかった。

音楽をかけていないのは辺りの気配を逃さないためである。

渋味の強い赤ワインを喉が鳴るほど勢いよく煽る。

冷静に見えるが紫響も心の中は焦っていた。

不味い流れになってきたことは間違いない。

この局面をどう打破すればいいのか……

普段はワインを飲むと冴えてくる頭もまるで働かない。

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