殺人鬼の棲む島
第53章 7日目 丑三つ時 洞窟
月明かりしか頼れる光源がない真夜中。
洞窟の中は漆黒の闇であった。
手探りでその中を進むのは京茶屋だった。
懐中電灯のようなものなど持っているはずもない。
ライターすら持っていなかった。
定年と共に禁煙をはじめたが、このときばかりはその英断を恨んだ。
「みんなは無事じゃろうか……」
足許は岩場で安定せず、躓きながら進む。
「ワシももうすぐばあさんのところに行けそうじゃわい……」
苦笑いがこみ上げる。
定年まで支えてくれた京茶屋の嫁は、それを待っていたかのように他界した。
洞窟の中は漆黒の闇であった。
手探りでその中を進むのは京茶屋だった。
懐中電灯のようなものなど持っているはずもない。
ライターすら持っていなかった。
定年と共に禁煙をはじめたが、このときばかりはその英断を恨んだ。
「みんなは無事じゃろうか……」
足許は岩場で安定せず、躓きながら進む。
「ワシももうすぐばあさんのところに行けそうじゃわい……」
苦笑いがこみ上げる。
定年まで支えてくれた京茶屋の嫁は、それを待っていたかのように他界した。