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殺人鬼の棲む島

第59章 7日目 朝 洞窟

見ると京茶屋の亡骸の後ろには血の道が出来ていた。

斬りつけられ、血塗れになりながら這って動いたことを物語っている。

「酷い……こんな殺し方があるかっ……」

歯を食い縛り嗚咽を漏らす。

地面の砂利をぎゅっと握り締める。

望の遺体を見たとき、悠夢にも人間らしい感情が残っていると期待をした。

しかし京茶屋の身に降りかかった惨劇を見て、それは甘い考えだったと気付く。


殺人鬼は、悠夢は人の心など持ち合わせていない怪物なのだ。


日本刀でいたぶるように斬りつけ、愉しむ化け物なのだ。

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