テキストサイズ

殺人鬼の棲む島

第8章 2日目 早朝

「あんな現場?」

ぼけーっとした表情から一変して遥風は鋭い視線をみじろっぷに送る。

「みじろっぷさんは殺害現場見てないんですよね? あんな現場、という表現は大概見た人間が使う言葉だと思うんだけど?」

挑発的な遥風の言葉にみじろっぷは顔を赤くした。

「こ、言葉のあやですっ!! って言うかいちいちそんな言葉尻捕まえて……なんなんですかっ!!」

「別にぃ……」

「みじろっぷさんの言う通りじゃ。探偵ごっこはやめるんじゃ」

見回りに行っていた京茶屋が戻ってきて、遥風をたしなめる。

「京茶屋さんこそおじいちゃんごっこはやめたら? いちいちしゃべり方を老人みたいにしてさ? 本当は語尾に『じゃ』とかつけてしゃべらないんでしょ?」

挑発的に返す遥風と京茶屋が視線をぶつけ合う。

「今は犯人を捕まえることが先決じゃろ。仲間割れしてる場合じゃない」

京茶屋はしゃべり方を変えたりせず、いつも通りの口調でそう返した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ