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殺人鬼の棲む島

第10章 2日目 午前

「……なるほど」

全部言う前に理解した夏野が呟く。

「ゴルフクラブを豪快にスイングしたんじゃないかな? けどその人物はゴルフが上手くない。地面にぶつけながら振ってるんだ。だから頭部付近の地面が抉れてるんだ」

立ち上がって全員の顔色を伺いながら遥風が締め括った。

「そうじゃろうか? 素人探偵がそんな推理をするための罠かも知れんがのぅ」

京茶屋はもうひとつの可能性を忘れるなと言わんばかりに反論する。

「まあ、そうとも考えられなくもないけど……遥風さんの方が自然かな……」

夏野は冷静にそう語ると死体を背にゆっくりと歩き出した。

それが合図のように集まった人たちは旧市街地から立ち去っていった。

京茶屋は近くにあったござをkuroにかけ、両手を合わせてからその場を立ち去った。

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