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殺人鬼の棲む島

第3章 一日目 朝

声をかけてきた男に見覚えはない。

しかしよれよれではあったがジャケットを着ているので漁師でないことは紫響にもわかった。

「はい……あの、あなたは?」

「やっぱりそうじゃ!! わしは京茶屋じゃよ!!」

かっかっかっと笑うその姿は実年齢の65歳より更に老けて見えた。

好好爺という印象を受ける。

「京茶屋さん……ですか……」

紫響が躊躇うのも無理はなかった。

紫響がサイトで見る京茶屋の作風はどう見ても女性のものだったからだ。

「わしがお爺さんでビックリしたろう?」

「いえ、そんな……」

図星を当てられた紫響は戸惑ってしまう。

周りを呑み込むほどのオーラを放つ紫響も京茶屋のあっけらかんとした態度の前には歯が立たなかった。

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