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殺人鬼の棲む島

第12章 2日目 昼 船着き場

泳いでいくには三月の陽射しも海水温も冷たすぎるし、海流も急すぎる。

そこまでのリスクを背負ってまで泳いで渡るほどの価値のある島はこの辺りにはない。

海水に触れ、その冷たさを確認したTOMは小さく頷く。

まるで泳いで逃げる道がないことを喜んでいるかのように何度も小さく頷く。

TOMの視界は遠くの漁船を捉えたが、特に手を降ったりしなかった。

その行為が無駄だと判断したからしなかったのか、漁船に来てもらっては困るからしなかったのかはTOM以外にはわかるはずもなかった。



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