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殺人鬼の棲む島

第15章 二日目 夜更け

長い沈黙の後、紫響は自室へと一人戻っていった。

残されたメンバーはどうしたらよいのか判断がついていない様子だった。

「あー私も自分の部屋で寝るわ。ちょっと頭の中整理したいし」

頭をガシガシと掻きながら遥風が自室へと引っ込む。

それを契機に「私も」と次々とリビングから人が消えていく。

ばらばらに散っていく心を繋ぎとめる力はもはやソラにも京茶屋にも残っていなかった。

「ソラ……」

心配そうな顔で綴がソラの手を握る。

「ああ……恋愛もちゃんと鍵かけて寝ろよ?」

「当たり前でしょ。馬鹿じゃないの? ……ソラこそ寝ないで見張りとか考えないでよね。朝起きていきなりソラのしたいとか見せられるの勘弁して欲しいし」

憎まれ口を叩いたあと恋愛は自室へと戻っていった。



テレビはおろかラジオすらないこの島の哀れな住民はまだ知らない。
二日後に嵐のような大雨がやってくることを。


黒鵜島での凄惨な惨劇は、まだ始まったばかりであった……

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